拙者ムニエル

の「華なき子」を観る。

 ・・・・・うーむ。「よそ行き」の芝居をしてしまったなあ。小劇場にリハウスしてきた建みさと様のためにはりきり過ぎた、というわけではないんだろうが、人間関係が普段よりも複雑で、ドロドロしている。というか、近親憎悪の話がメインで、笑いの要素が後退してしまっているのが痛い。
 
 あと、振付がイデビアン・クルー井手茂太氏で、踊りそのものはいいんだけど、この舞台には果たして適切なものなのかどうか。彼の振付は一見ふざけた感じで、素人にもできそうなものだが、踊り手の位置や、動作のタイミングが、実に細かく決められている。一つの芸術作品として完成していて、観ていて自然に緊張感が高まってくるのだ。重たい感じの芝居が、さらに重たくなってしまった。
 
 劇場=吉祥寺シアターそのものも問題かも。観客席の傾斜が急過ぎて、舞台がいかにも別世界、という感じがしてしまう。劇の世界に気持ちが入って行かず、つい批評的に観てしまうのだ。