おとなの昔話

 

おとなの昔話 「 金のモノ、銀のモノ 」


 むかーしむかし、三鷹に、ひとりの女の子が住んでいました。大富豪だった両親はとうに亡くなっていて、遺産はいじわるな姉が独り占め。姉は男をとっかえひっかえ遊び暮らしているのに、女の子はその日の食べるもの、着るものにも苦労するありさまで、楽しみといえば、マン月の夜に井の頭公園の池のほとりで、カップルたちがいちゃつく物音を聴きながらオナることくらいでした。 


 あるマン月の夜。いつものように女の子はバイブを使い、クライマックスに達したのですが、その勢いでバイブが数メートル先の池の中まで飛んでしまいました。困った女の子が、池に飛び込んで探そうかどうしようか、迷っていると、池の底から全裸のグラマラスな女性が、音もなく浮かび上がってきました。こういう場合に出てくるのは女神に決まっています。断じて変質者ではありません。
 彼女は両手に何かキラキラ光るものを持っています。そして、女の子にこう問いかけました。「お前が探しているのは、この金のバイブですか。それとも銀のバイブですか」。女の子は答えました。「いいえ、女神さま。私が探しているのは、ふつうのピンクバイブです」。すると女神は、「正直な子だねえ。ほうびに、全部お前にあげよう」、と言って、金のバイブ、銀のバイブを女の子に投げてよこし、さらに自分のアソコからピンクバイブをビュッ! と飛ばして返しました。あまりの出来事に女の子が呆然としているうちに、女神は完璧なバタフライで向こう岸の方に消えていきました。


 女神さまからもらったモノを使うのは恐れ多いので、女の子は2つのバイブを神棚に祀ってながめているだけでしたが、このことはやがて近所じゅうのうわさになりました。隣のおばさんが2つのバイブを見にきましたが、見ているうちに彼女はどうしても実際に使ってみたくてたまらなくなりました。一種の魔力でしょうか。とうとう女の子が止めるのも聞かずに、その場でおばさんは金のバイブを使い始めました。すると・・・・・・。その素晴らしいことといったら!! あっという間におばさんは、この世のものとは思えない快楽に、失神してしまいました。
 この話を聞きつけた女の人たちが次から次へとやって来るようになって、そうしてわかったのは、金のバイブの不思議な力です。見た目は確かに金なのですが、使う女性がこうあってほしいと思うようなカタチ、大きさ、硬さ、動きのリズム、軌道に、その都度変化するのです。今までセックスを楽しんだことのない女性も、このバイブを使うと無限の絶頂のかなたに果ててしまうのでした。
 ちなみに銀のバイブもかなりいい仕事をするのですが、動きがやや単調なのがタマにキズでした。


 今や、金のバイブは日本中に知られるようになり、女の子はその使用料で大金持ちになりました。でも、いいことばかりではありませんでした。バイブを使ってから、もうこれ以上の悦びを俗世で味わう気はない、と悟ったようになって、夫や子供を捨てて出家してしまう女性が後を絶ちませんでした。金のバイブで初体験して、そのまま尼さんになってしまう女子高生もいたほどです。
 このままではすべての家庭は崩壊、いいえ、日本国そのものが崩壊してしまいます。金のバイブに負けないセックスを男性に習得させねば。国は、苦慮を重ねた末、中学校におけるセックスの必修課目化を決定したのでした。特に男子生徒は、セックス実習で女性インストラクターをイかせなければ卒業できないことになりました。ちなみにインストラクターは教員志望の女子大生で、この仕事と引き換えに教員免許が与えられるのです。
 この制度が導入されてから、女の子のもとに全国から感謝状が殺到するようになりました。「勉強もスポーツもダメで不登校気味だった息子が、生き生きと登校するようになりました。自分の特技を見つけたみたいです」とか、「実習でがんばったら、女子にモテるようになりました。今、とってもしあわせです」とか。インストラクターからも、「本当の意味で生徒のことを知ることができました」という声が寄せられました。ただ残念だったのは、父親が中学生の息子に睡眠薬を飲ませて眠らせ、代わりにセックス実習にチン入しようとする事件が続発したことです。


 以上のようないきさつを見てきた女の子の姉は、自分も金のバイブを女神からもらおうと思い、ある夜、井の頭公園の池のほとりに行って、盛大にオナり始めました。でも、何度イってもバイブは池まで飛びません。真下にズルッと落ちるだけです。今まで金に物を言わせてただマン然と遊んできたせいで、すっかりユルくなってしまっていたのでした。
 とうとう夜が明けて、姉は井の頭交番の巡査に逮捕されてしまいました。


 性格以前に膣圧が女性の人生を決めていた、哀しい時代のおはなしです。どっぴゅんぱらりのぴゅっ。