夏は

日本人が戦争について考える唯一の季節だ。


 「沖縄戦での住民の集団自決に日本軍が関与していた」、という記述が教科書から消えるという。要するに、検定意見をつけたセンセイ方は、「集団自決はダメなことだ」、と考えているのだろう。戦後の価値観にどっぷり浸かっていることに、自分たちでは気がついていないらしい。


 同じようなことが昔あった。ある歴史の教師が、授業中にこう言った。「南京大虐殺はなかった。あんなに大勢殺したのでは、死体の処理が大変になる」。
 たとえばアメリカ軍は、広島と長崎に核爆弾を落とす時に、死体の処理の心配をしただろうか。敵の死体の処理を心配しながら戦う軍隊など、存在するはずがないが、この教師によれば日本軍はとてつもなく軟弱な集団だったことになる。


 このように、一見日本軍を擁護しているようで、実はバカにしている言説を、しばしば見かける。注意が必要だ。