万有引力の


「書物の私生児」を観る。


 「われに五月を」から「百年の孤独」までの寺山の言葉たちが、舞台後方のスクリーンに映し出される。少年王者舘がよく使う技法だが、ちょっと違う味わいだった。J・A・シィザーの音楽をバックに、それは、俳優たちとともに踊っているように見えた。特に短歌は、単なる効果ではなく出演者になっていた。五・七・五・七・七が、スマートに見えた。最後も、言葉だけが舞台に残る。


 おもしろそうな公演を見つけた。来年3月の野村萬斎演出の「マクベス」。高田恵篤、福士惠二、小林桂太の天井桟敷万有引力勢がワキを固めるようだが、どんな風になるのか、そそられる。