ブラインド・フェイス

のDVD「ロンドン・ハイド・パーク1969」を観る。輸入盤で方式が違うため、コンピューターでないと再生できないという一品。


 当時スーパー・グループと呼ばれた彼らだが、実際にはスティーヴ・ウィンウッドジンジャー・ベイカーの双頭バンドだったことがよくわかる。エリック・クラプトンが二人の間に隠れるようにしてプレイしているのが逆に印象的。これは、カメラ・アングルのせいばかりではない。ベースのリック・グレッチに至っては、音が全く聴き取れない。


 当時二十歳そこそこのウィンウッドのボーカルは豪快そのもの。ときどき音を派手に外すのだが、それもいいアクセントになっている。


 このライヴの約1ヶ月後に同じハイド・パークローリング・ストーンズがライヴを行い、DVDになっているが(「ストーンズ・イン・ザ・パーク」)、それに出てくるのと明らかに同一人物と思われる人が、観客にまぎれて踊っている。もしかして、主催者が用意したプロの盛り上げ屋なのだろうか。


 ほとんどの観客は、地べたに座ってライヴを観ている。これは、ウッドストック等この時代のロック・フェスティバルに共通する点だ。今のように、バンドが観客にノリを強要することはない。目に見えない信頼関係のようなものが、両者のあいだにはあったのだ。今は、ライヴが体育の授業のようになっている。ライヴ・ハウスの中の、コントロールされた熱狂。それは同時に、ライヴ・ハウスの外の日常における空虚さ、といったものを浮かび上がらせているように思える。